【ディサービス日記】きっと隠しきれない僕の心を映すだろう
こんにちは。
私は今までにディサービスや特別養護老人ホーム等でボランティアをさせていただいたことがあります。
ディサービスにはいろいろな規模があります。私は市営と私営でやられている施設、2ヶ所でボランティアをさせていただいてきましたが、お客様の人数はどちらも月曜~土曜までで平均して25人くらいでした。
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ディサービスは、お客様を季節関係なく、いつでも受け入れていますから、通い始めは皆違います。(施設により、通い始めが決まっている所もあるかもしれません)
そして、中々お客様の世代になられても場の空気に馴染むのには時間がかかるようです。
今回は、私が最後にお世話になった市営のディサービスの出来事を書いていきたいと思います。
伊藤さん(仮名)もそのおひとりでした。白髪のショートに痩せた体、身長は姿勢もよく155cmくらいじゃないかと思います。
伊藤さんの席は、窓際のテーブルの一席に決まりました。
そのテーブルは全員女性。面倒みのいい方や、大人しい方、いろいろいらっしゃいました。穏やかなお客様が多いテーブルで、入ったばかりの伊藤さんには一番、適しているように感じました。
一応、誤解があっても良くないので、書きますが、他のテーブルで居心地が悪い、という訳ではなく、
我が強かったり、神経が細かい方もしらっしゃるので、けしてそれが悪いという訳ではありませんが、入ってきたばかりでは、気負いしてしまうこともあるのではないか、と思えただけです。しかし、我が強かったり、神経が細かいお客様も話していくと、回を重ねる事に、それだけじゃないとても素敵な人だとわかってきます。
話は戻ります。
私は落ち着かない感じの伊藤さんに声をかけに行きました。
『伊藤さん、おはようございます☺️』
しかし、伊藤さんは無反応。
どうされたかと、、思えば、『私、耳が遠くて、ごめんね』
との事でした。
そうだったんですね😌
ボランティアの私には、お客様の症状は一切伝わっていません。知るとしたら、お客様の口から直に聞くのみです。
大きな声で、でもわざとらしくなく、、の会話が続きました。
ここのディサービスのお客様の年齢は大体75~99歳、月曜日~土曜日を合わせて60代の方も2.3人いらっしゃいます。
そうなりますと、不思議と服装は黒か地味な色味が多くなります。なぜなんでしょう。
その中に、白や水色、黒でも素敵な模様の服。さらに綺麗な色のマフラーを首にかけてくるお客様もいらっしゃいます。そして、そういうお客様はまず娘さんという確率がとても高いんです。お母さんにはいつまでも綺麗でいてほしいし、お母さんも綺麗でいたいだろう、という娘心、私は、すっとそう頭が働きました。私はそうだから、、、というのも、あると思います。
伊藤さんも綺麗な毛玉ひとつない綺麗な水色のセーター、色鮮やかな刺繍糸のお花があちこちにセンス良く散らばって咲いています。
『素敵なお洋服ですね☺️』
私の言葉に、伊藤さんはゆっくりと口を開きました。
『これね、息子のお嫁さんが買ってきたの。』
照れ隠しなのか、なんなのか、私には伊藤さんが困っているように見えました。
『そうですか。お嫁さんがお義母さんになんて。素敵なお嫁さんですね』
『いらないのよ』
『いらない?』
私が不思議そう尋ねると
『今、息子たち夫婦のとこにお世話になっててね、、』
お話を伺っていると、伊藤さんが生活に必要だとお嫁さんに渡したお金で、お嫁さんは伊藤さんの服を買ってきて、困るという事でした。
食費や生活費に渡していたお金で、お洋服を買われて、、、本来の用途と違う事が嫌だったのかな、、、と、そのとき思いました。
でも、
それは数週間後のお昼ご飯が終わって、お客様がゆっくりされている時間。食事介助が必要なお客様はまだまだお食事中、、、という頃。
私は伊藤さんのとなりに行き、『今日のお昼はいかがでしたか?』と話しかけると、
『美味しかったわ☺️』と笑顔が返ってきました。
伊藤さんは、少し間を置いて、『あのね』と話し始めました。
『あのね、息子夫婦がね、休みに食事に出かけるのよ』
『あの、洋服を買ってきてくれるお嫁さんですね』
伊藤さんは失笑されながら、うなづくと、話を続けられました。
『その時にはね、煮魚とか、煮物とか、私に何らかの和食を作って出かけていくの』
『それは、いいことなんじゃないですか?』
『私ね、、そんなに和食好きじゃないの』
『そうなんですか、それなら、、、』
別の料理をリクエストと言おうとする言葉を遮るように伊藤さんは口を開きました。
『それにひとりで食べる食事は味気ないの。寂しいわ。本当は、たまには一緒につれて行ってほしいの』
『息子さんやお嫁さんに話されてみたら、、』
『2人でのびのびしたいんでしょう。。』寂しそうに小さな声で言われました。
あの、お嫁さんに渡していたお金は、本当は外食に一緒に行きたくて、そんな気持ちのお金も含まれていたのかな、と思いました。
それを外食ではなく、新しい服に使われてしまったのが、あの綺麗な服なのにどこか寂しそうな表情にしていたのではないか、、、と思いました。
相手が何を求めているか、分かっているつもりでも分からないこともありますね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!