【ディサービス日記】秩序のない現代に ドロップキック
こんにちは。
私は今までにディサービスや特別養護老人ホーム等でボランティアをさせていただいたことがあります。
ディサービスにはいろいろな規模があります。私は市営と私営でやられている施設、2ヶ所でボランティアをさせていただいてきましたが、お客様の人数はどちらも月曜~土曜までで平均して25人くらいでした。
今回は、私が最後にお世話になった市営のディサービスの出来事を書いていきたいと思います。
突然ですが、みなさんは、自分が周りからどんな風に思われているか、悩まれた経験はありませんか?
ほとんどの人は、一度はあるんじゃないかと思います。
自分がどんな風に思われているか、バカにされているんじゃないか、、、。
被害妄想ではなく、実際に人は下に扱われていると、悲しいかな、言葉や態度でわかるんだな。。
ディービスの中で私がそう感じた出来事を書いていきたいと思います。
渡邊さん(仮名)は、目鼻立ちがしっかりしている少し小柄な女性でした。若い頃はアイドル並みに可愛らしかったと、簡単に想像出来るほどです。80代後半から90代半ばが多いこのデイサービスでは若い60代後半でした。
渡邊さんがどんな病気か、どんな症状があるのか、
ボランティアの私には知らされていません。分かりません。
でも、渡邊さんの様子から察するにお昼すぎた辺りから気持ちが不安定になってしまう事が多いようでした。
それは、ある日の、午後のレクレーションが終わったときに起こりました。
入ったばかりのパートさんが渡辺さんに『トイレに行っとこうね』と言いにきました。
『行きたくないわ』
『でも、これから帰るから行っとかないとね』
『いい!』
そんなやりとりの末、パートさんは椅子に腰かけ、テーブルによりかかっている渡邊さんの脇に手を入れ無理やり立たせようとしはじめました。
渡邊さんはテーブルにしがみつくようにして、離れようとはしません。
テーブル越しに渡邊さんの正面にいた私には
渡邊さんの必死に抵抗している顔と
やれやれと呆れ顔のパートさんの顔が飛び込んできす。
こちらをチラッと見ると、『困っちゃうわ』と、わざと渡邊さんにも聞こえるような声でパートさん。
私は、優しく『渡邊さん』と声をかけた。
机に伏せていた顔がゆっくりあがり、きれいな、でも不安そうな顔が再び姿を表す。
『あの、私、トイレに行きたいんですけど、ついてきてもらえませんか?』
渡邊さんは、お話を伺っているととても優しい人。それなら、誰かのためなら、私のためなら動いてくれるんじゃないか、、、と思いました。
私の予想はあたり、あれほど強い力でしがみついていたテーブルから離れて、表情も軽やか、笑顔になっていました。
『わぁ、ありがとうございます!』
渡邊さんと並んでトイレまでの廊下を歩いて行こう!! と、私も動き出そうと、
その時だった。
渡邊さんの両脇にパートさんと女性の職員の手首がすっと入ってきて、そこからは、まるでサスペンスドラマの犯人連行のシーンを見ているようだった。無理やり立たせて、、、
『やめてください』私が言った。
『ありがとうね。』パートさんの渡邊さんの腕を掴みながらの、、噛み合わない言葉。。
まわりは、みんな見て見ぬふり。。
見て見ぬふり、、、と言っても、職員やパートさんが知らぬ振りなのと、お客様と数名の良識あるパートさんがなにもできないの、、、とでは、
見て見ぬふり、でも全く違う。
後者の方は、自分が世話になっている手前言いたくても言えない。。辛い傍観者なんだと感じました。
心が通じて、渡邊さんは、トイレに行きたいという私を、自分が一緒に行くことで、助けてくれようとしてくれた。動いてくた。嬉しかった。。
でも、悲しくて仕方なかった。。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます🥺
【ディサービス日記】喉まで上がった もやもやがあった
こんにちは。
私は今までにディサービスや特別養護老人ホーム等でボランティアをさせていただいたことがあります。
ディサービスにはいろいろな規模があります。私は市営と私営でやられている施設、2ヶ所でボランティアをさせていただいてきましたが、お客様の人数はどちらも月曜~土曜までで平均して25人くらいでした。
今回も引き続き、舞台は私営のディサービスです。
今回も出来事というより、あるお客様との事を書いていきたいと思います。
そのお客様は、武藤さん(仮名)といいます。
他のお客様とお話されいる姿はめったに見ないと思えるほど、武藤さんはいつもおひとりでテーブルで新聞を読まれていたり、何か作業をされていらっしゃいました。
職員が話しかけると、普通にお話されていました。
ですから、私も武藤さんに朝の挨拶も兼ねて、話しかけました。
「武藤さん、おはようございます☺️」
武藤さんは、無反応でした。
それから、時間を置いて、また違う感じで話しかけてみました。
「武藤さん、なにをされていらっしゃるんですか?」
また、なんの返事もありません。
職員とは、会話をされるのに、、、私はなにか自分の気づかないところで武藤さんを不快にさせてしまっているだろうかと、寂しくなり、そして段々と不安になりました。
私はそれからも数回、話しかけ、その何回目かで武藤さんはやっとやっと、言葉を返してくださいました。
「あら、こんにちは」
その柔らかい笑顔は、少なくとも私を嫌っているようなものには見えませんでした。そして、武藤さんは、言葉を続けました。
「私、こっちの耳が悪くてね。ごめんなさいね。あなた、私に話かけてくれてたのかしら」
私は小さく頷きました。そして、職員は聞こえる方から話しかけていたから、武藤さんが耳が悪かったことに気づかなかったのだと理解しました。
それから、武藤さんとの会話の中で、武藤さんは昔、生地を裁断し、着物を作っていたことも知りました。
すごいなぁ。。
そして、
『返事がない=無視 ではない』
と、改めて思いました。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます!
【ディサービス日記】増やしていく きれいな彩り
こんにちは。
私は今までにディサービスや特別養護老人ホーム等でボランティアをさせていただいたことがあります。
ディサービスにはいろいろな規模があります。私は市営と私営でやられている施設、2ヶ所でボランティアをさせていただいてきましたが、お客様の人数はどちらも月曜~土曜までで平均して25人くらいでした。
今回も前回に引き続き、舞台は、私営のディサービスです。
私はお客様が送迎でいらっしゃる朝から、帰られるまで丸1日、週3日ボランティアをしていました。
私はこのディサービスでは、朝、お客様がディサービスの席について飲むお茶🍵の用意、お客様のお話相手、食事のお手伝い(介助ではなく)、午後のレクレーションの準備、お手伝い、などを任されていました。
お客様が昼食を食べ終えるまでの時間は様々ですが、食事介助でとても時間がかかってしまう人は5名もいらっしゃらないので、大抵のお客様は食事と午後のレクレーションの間に約1時間、時間があきます。
その時間で私はいろいろなテーブルを周り、お客様とお話をしながら、折り紙などをしていました。
中でも私がよくしていたのは、"希望されるお客様ひとりひとりに色画用紙を配り、木や花や妖精など簡単に折れる作品を一緒に作って、それを色画用紙にはりつけて、作品を作る"というものでした。
今日は、その作品に関係する、印象に残っている出来事を書きたいと思います。
その日もいつものように昼食を済ませてから、テーブルの上で折り紙工作が始まりました。
別のテーブルにも希望者はいてくださり、あっちのテーブル、こっちのテーブルで、楽しい折り紙の作品作りは始まりました。
お客様と一緒に、木や花や、妖精などを順番に作り、お客様は前の日に私が作っておいた見本のようなものを参考に色画用紙に作った作品をノリで貼っていきます。
同じものを作っても、折り紙の色はもちろん、貼る位置も、妖精の目も違い、十人十色の素敵な作品ができました。
お客様、みなさん嬉しそうに満足気な表情でした。
そして、午後のレクレーションがはじまり、、
事の発端は、レクレーションが終わって、お客様がそれぞれの椅子に戻ってしばらくした時に起こりました。
青ざめた表情の幸子さん(仮名)は持ってきたかばんを膝の上に置き、
『ない🥲』独り言のように仰られた声はすぐ隣のテーブルにいた私にも聞こえ、私は席を立ち、
『何がないのですか?』と幸子さんの前にしゃがみこみ、目線を合わせて尋ねました。
『さっきの折り紙の😨』
そう答える幸子さんは、今にも泣き出しそうな顔でした。
私が予め作った見本のようなものを渡したら、いいのか、、、でもそれが正しいのかもわかりませんでした。
私はさっきまで座っていた席に戻り、どうしようか、、、と考え始めたや否や、
その時に幸子さんの真向かいに座っていらっしゃったお客様が立ち上がり、私が座っているテーブルまでいらっしゃると、
『幸子さんが折り紙を無くされて、困っていらっしゃるから、作りたいの』と。
え?
驚きましたが、言ってきてくださったお客様も一緒に作っていて、持って帰り、家族に見せるのが楽しみな幸子さんの気持ちを汲み取ってのことなのでしょう。
お部屋では職員達がホワイトボードに乗る車A.B.C.Dとその下にお客様の名前を順に書いていました。
私が座っているテーブルで、さっきまで一緒に折り紙
をしていたお客様も、『私に折り紙を出して』『折り方を教えて 』の声が、右から左から、前から、聞こえてきました。
それから、皆で幸子さんのために折り紙を折り始めました。
私はなんだか嬉しくなりました。
しかし、職員に見つかり帰りの送迎の話をしているのに、なにごとか、と怒られました。
それからは、静かにバレないように、お客様も私も気をつけながら折り、作品は完成しました。
幸子さんに渡すと、驚かれたあと、とても喜んでくださいました。
お客様みなさんが想った気持ちが幸子さんに通じて、また、嬉しくなりました。
幸子さん、よかったですね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
またね
【ディサービス日記】さぁ なにをかぞえよう
こんにちは。
私は今までにディサービスや特別養護老人ホーム等でボランティアをさせていただいたことがあります。
ディサービスにはいろいろな規模があります。私は市営と私営でやられている施設、2ヶ所でボランティアをさせていただいてきましたが、お客様の人数はどちらも月曜~土曜までで平均して25人くらいでした。
ディサービスに、お客様がいらっしゃる頻度は市営、私営共に様々です。どちらも毎日いらっしゃる方もいますが、『月、水、金』『火、木、土』のように、だいたい週に3日の方がほとんどで、お昼ご飯を自宅で済ませてからいらっしゃる方もいます。
今回は、私がはじめてボランティアをさせていただいた私営のディサービスでの出来事を書いていきたいと思います。
たまさん(仮名)のご自宅がディサービスの建物の目と鼻の距離にあると知ったのは、ディサービスのボランティアをはじめて少し経った頃でした。
たまさんは、月曜から土曜まで、朝から夕方までずっとディサービスで過ごしていらっしゃいます。
その日の午後のレクレーションは、脳トレでした。
脳トレといっても、いわゆる数独やナンプレ、クロスワードなどの類ではありません。お客様の前に置かれていくのは、小学校低学年から中学年の算数のプリントでした。1桁の足し算、2桁の数と1桁の数の足し算、引き算。
『こんなの簡単!バカにしないでよねえ』
いろいろな方がいらっしゃるので、計算にしても得意不得意があります。いい大人なのに、こんなものをやれというのか、、、というバカにされたように感じられるのもまた、私はごもっともな話だと思いました。
たまさんは、計算はよく分からない、、という感じでした。
テーブルの空気は悪く、出された課題にバカにされてると感じられイライラされている方、ため息混じりに黙されている方、簡単すぎる問題に呆れながら解いている方、、、。その中でたまさんは、他の方とは様子が違うようでした。
『たまさん、どうですか?』私は、たまさんのなにも手がついていないプリントを覗き込みながらゆっくり尋ねてみると、
『わからないわ』と恥ずかしそうに小さな声でぽつりと返事は返ってきた。
『わからんのー?これは3で、次は6、15、3、6、12』向かい側に座っていたお客様が前のめりになり、たまさんのプリントを覗き込み順次に答えを言っていく。たまさんは、すごいなぁという表情で耳を傾ける。
私はいいことを思いつき、たまさんにそれを試してみる事にしました。
『たまさん、一緒にやってみませんか?』
『、、、うん』
2+1 の問題を私は、たまさんの家族構成を踏まえて
『たまさん、娘さんが2個草餅を買ってきてくれたの』
たまさんは、じっと私の方を見て聞いてくださっています。
『で、そのあとに、娘婿さんが帰ってきて、温泉饅頭を1個買ってきたの。たまさん、何個食べられますか?』
『3個!』
『正解!!たまさん出来てますよ!
『じゃ、次行きますよ』
『娘さんが紅白饅頭を4個買ってきました。そのあと娘婿さんはいちご大福を2個買ってきました。たまさんは何個食べることができますか?』
『6個だね!』
『正解!じゃー次!今度は娘さんは草餅を6個買ってきました。その後、旦那さんは草餅を9個買ってきました。たまさんは何個食べられますか?』
たまさんは、間髪入れずに
『そんなに食べられないわ』と大笑い。
さっきまでピリピリしていたテーブルにいた他のお客様もみんなたまさんのユーモアある回答に声を出して笑いました。
たまさんは、まわりの皆を見て、また笑いました。
たしかに、15個は、フードファイターでもなければ、食べられないですよね、
たまさん、大正解🙆♀️
空気をさりげなく変えられるユーモアもあるたまさん、素敵な方です!大好き!
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
またね
【ボランティア日記】君の名を叫んでみんだ
こんにちは。
私は今までにディサービスや特別養護老人ホーム等でボランティアをさせていただいたことがあります。
まずブログ紹介後の次のブログという事で、どんな内容にしようか、、、伺った中のどの施設や、どの体験の話から書き始めようか、、、迷い、
わずか2日間のボランティア体験でしたが、今後のボランティアをする上でも、人と関わる上でも大切なことを教わることができた或る特別養護老人ホーム(以下、特養)での出来事を書いていこうと思いました。
その特養では、利用者様のお部屋に、4つのベッドがありました。(カーテンで見えないようにしている人もいました)
そしてそのうちの1つ、お部屋に入って右奥の窓際のベッドに市川さん(仮名)はいらっしゃいました。
『おばあちゃん、おはようございます☺️』
市川さんは、白髪に、細い体、しっかりされている印象がピンと伸びた背筋から伝わってくるようでした。
そして、市川さんは私の声に反応し、私がベットまで近づくなり
『私は、あなたのおばあちゃんじゃないの』
そうビシッと言われました。
分かってるよ、私のおばあちゃんじゃないことくらい。。何言ってるの?
その時の私は、市川さんの言葉の意味がわからず、きつく思えた口調にばかり気を取られていました。
ベットの横にある3段のタンスは家具さんでよく見る本棚の様でした。その中の一段にはサイズに合う洗濯かごのようなもので、引き出しにできるようになっていました。とはいっても
僅かな荷物しかないんだな
とは、思いました。
私の目線から何か感ずいたのか、
市川さんは、『これだけさ』
と、吐き捨てるように、言いました。
『少ないです』私はぼそっと言いました。
『私が89年生きてきて、持てる荷物はこれだけ。』
その時の私は特養が最期までいるところ、ということを知らず、元気になったら自宅に戻れると思っていましたから、市川さんの言葉に凍りついてしまいました。
『そんな。。』言葉につまる私に、市川さんは無表情で口元だけ笑っているようでした。
『最初に、私はおばあちゃんじゃないと言ったわね。』
私は市川さんの目を見て何も言えず、頷きました。
『おばあちゃん、おじいちゃんではなく、名前を覚えることだよ』
ハッとして、名前を訪ねました。
『ごめんなさい🙇🏻♀️お名前は?』
『市川ふみです。』市川さんは微笑んで名前を言いました。
おばあちゃんじゃなく、ひとりの市川さんという人なんだ!
それから、私はボランティアや私生活でも
まず名前を覚えることを意識するようになりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!!
またね